今年2016年NASAで世界初、ブラックホールの直接的な観測がなされたそうです。NHKの特集番組「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」の ~握りつぶされたブラックホール はとても面白くて少々怖いお話でした。
今からおよそ80年前、ブラックホールの概念が イギリスのアーサー・エディントン教授によって初めて著書内にて発表されました。その本を憧れて読んだ少年 スブラマニアン・チャンドラセカールはイギリスのケンブリッチ大学に留学、アーサー・エディントンと対面しますが・・
ブラックホールの概念の結論が違ったために、イギリス天文学会の重鎮だった アーサー・エディントンは若き天才学者 スブラマニアン・チャンドラセカールを徹底的に潰そうとします。
最初は協力的とみせかけ、研究室に顔を見せ、アドバイスを送り、望遠鏡もプレゼントし・・怖いwドラマみたい。
味方と見せかけ学会で牙を剥き、徹底的にスブラマニアン・チャンドラセカールの論文を批判しました。その為 スブラマニアン・チャンドラセカールの論文は日の目を見ることが出来ず、ブラックホール研究は40年遅れたとか・・。
元ネタの「ブラックホールの概念」を考えたのはアーサー・エディントンですよね、そのアーサーの本を読んだチャンドラセカールが閃き(チャンドラセカール限界)次に発展させた論文を書く。
後進者は前者の研究を土台にして、新しい理論を構築してそうやって科学は進んで来たものなのに、アーサー・エディントンはチャンドラセカールの共同研究者としてやっていく方法もあったのにただ 潰すことに 全精力を傾けました。
今回ゲストの総合研究大学院大学の池内了名誉教授と国立天文台理論研究部の大須賀健助教のやり取りも大変面白かったです。
学問の世界って、世界は過去から未来へと進歩していくから後進に追い越されるのは宿命なんですね。だけど後進のために土台になるために研究してる訳じゃない。当然ですよね。
自分の論文に後輩が訂正や修正や改良をして、もっと良いものにしていく・・心情的には良い感情だけじゃない、。若い才能への嫉妬や憎悪も生まれちゃいそう。「自分の研究を素に、より良い研究に発展して良かった」なんて菩薩的、天使的な感情だけじゃない気がしました。
スブラマニアン・チャンドラセカールは執拗にアーサー・エディントンに妨害され一度は「ブラックホール理論」封印しました。
しかし、後進者の物理学者スターリングコルゲートが「ブラックホール理論」を見出したことにより、それにより封印を解き、研究を発展させた結果、1983年「星の構造と進化にとって重要な物理的過程の理論的研究」にてノーベル物理学賞を受賞しました。
前を行く師事したアーサー・エディントンに妨害され、交流もなかった後進のスターリングコルゲートに見出され、ついにはノーベル物理学賞。チャンドラセカールは良かったですね。
逆にアーサー・エディントンはチャンドラセカールとWin Winの関係を築けなかった事が生涯においても天文学界においても残念な結果となりました。考えさせれれます。